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すぐ必要なくても創業融資を受けるべき3つの理由

最終更新: 3月15日

 「今すぐお金が必要な訳ではないので創業融資は自分には不要」という経営者の方は沢山いらっしゃいますが、それは大きな誤解です。ビジネスチャンスを逃さないために、創業時に融資は受けておくべきです。この理由を3つに絞って解説します。


1. 創業融資を受けた企業の方が廃業率が低い


 創業企業が生き残る確率、いわゆる生存率について分析したデータがありますが、一般的な創業企業の生存率に比べて、創業融資を受けた場合の生存率が格段に高いというデータがあります(中小企業白書2006年度版、日本政策金融公庫2016年新規開業パネル調査)。


 これは企業の生命線が一にも二にも「資金」であることを如実に表しています。資金が不足して給料や家賃が支払えなければ、どんなに良い事業をしていても、従業員やオフィスを維持できず企業はつぶれてしまうという現実を物語っているのです。特に創業初期には、売上見込みがなくなったり、取引先の入金が遅くなったりと、不安定なことが起こりやすい時期です。そのようなリスクが高い時期に、生命線である「資金繰り」に対する手当てが十分でなければ、廃業するリスクも高まることは当然と言えるということを想定しておかねばなりません。


 上記について、創業後しばらく実績を見てから必要になった段階で、銀行に融資を申し込めば良いのではないか?と考える経営者の方も少なくないでしょう。しかし、実績が出てから融資を申し込んだもののあえなく断られてしまったという話はよく耳にします。銀行は調子の良い時はお金を貸してくれますが、調子が悪くなってから相談しても色良い返事はもらいにくいものです。実績に乏しい創業初期の企業が、赤字で資金繰りに課題が出てから借入申込をしても、希望通りに審査が通るとは限らないということは良くある話なのです。


 では、創業者がとり得るリスクヘッジ手段は何でしょうか?それは創業時点で、しっかりと資金調達(創業融資)を受けておくことです。借入すること自体をリスクと考えて創業融資を受けない場合には、逆に創業後の資金繰りリスクに対してあまりに無防備であるともいえるでしょう。創業融資を受けた企業が生存率が高い(=資金が続いている)というデータからすると、創業融資を受けることの方が、経営リスク対策になっていると言えるのです。


 また、創業融資を受けるメリットがもう一つあります。創業融資を受けて資金水準が高くしておくことで、ビジネスチャンスが到来した場合に即座に投資実行ができ、いち早くチャンスをつかむことが可能になります。融資を受け余裕資金が生まれ→それを投資し→売上と利益を拡大し→さらに融資が受けやすくなる、という事業安定化の好循環を生み出していくことができるのです。


 会社がつぶれるのは借入が多いからではなく、預金が少ないからです。それを念頭に、預金水準の低下を見越した対策をしっかり打っておく、ということが必要になります。会社にお金が入ってくる入り口は2つしかなく、1つは「売上による営業入金」で、もう1つは「借入による財務入金」となります。創業時には営業入金の見込みが不安定ですから、この段階では借入財務入金の目途をしっかりと付けておくということが、経営者の役目と言えます。



2. 創業時は創業融資が受けやすい


 会社を設立したばかりで実績がない場合、融資が通らないのではないか、と考えるかもしれませんが、それは大きな誤解です。実際には、創業直後は融資の審査通過率が高い傾向があります。通常、創業1年目は創業赤字となりやすく、資金水準が低下してしまうため、その段階で融資を申し込んでも、審査が通りにくいという話はよく聞きます。逆に、創業直後で実績が存在しない段階では、実績を求められませんので、事業計画書のみで勝負することができ、このため審査通過率が高くなります。


 一般的な創業融資の審査通過率は50%とも70%とも言われますが、審査に一度落ちてしまうと、その金融機関に対しては少なくとも半年~1年の間は融資申し込みができなくなるのが通常ですので、その点から、最初の融資申し込み時にしっかりと審査が通過できるよう、きちんとした事業計画を策定する必要があります。この点、創業融資に強い会計事務所であれば、銀行担当者が読みやすく、筋の通った事業計画になるようにアドバイスしてくれますので、創業融資に強い会計事務所等と一緒に創業計画を策定し、融資通過率を高めるなどの対策をする事が望ましいと思われます。


 なお、創業融資の申し込み時に連帯保証人が問題になる場合があります。民間金融機関の場合、会社代表者について連帯保証人を要求するケースが多いかと思いますが、もしも会社が借入返済できなくなった場合には、個人財産が差し押さえられてしまうかもしれず、個人にとっては大変なリスクかと思います。しかし、最近では日本政策公庫の創業融資では、多くの融資商品で無担保・無保証人となっていますので安心と思います。融資商品を選ぶ場合には、金利の高低で選ぶよりも、無保証人であるかどうかを重視することで創業者個人のリスク対策になると思われます。



3. 事業計画を作ることで創業プランが固められる


 前述の通り、創業融資の審査通過率を高めるためには事業計画書を作り込むことが重要です。日本政策公庫の場合には、創業計画書や企業概要書のフォーマットが用意されていますが、これは知識がない創業者がなんとか記入できるようにしている資料にすぎず、実際の所、これだけでは情報不足が否めません。例えば創業計画書では、創業の経緯欄が4行しかありませんし、セールスポイント欄は3行、販売戦略欄も3行しかなく、ほとんど詳細を記入することができないのです。これでは自社のアピールができず、担当者に理解してもらえない可能性があります。したがって、銀行への提出書類としては、審査担当者にしっかりと自社のビジネスモデル等を理解してもらえるよう、ビジネスプランとしての詳細な事業計画書を別紙で提出することをお勧めしています。特に、文章(Word)において、創業の経緯、セールスポイント、ターゲット、販売戦略、外部環境、経営課題など、自社がどういう戦略のもとになぜ創業し、どうやって顧客を増やし、売上を上げて行くのかについての道筋・戦略をしっかりとアピールすることが重要です。単なる夢物語ではなく、地に足を付けた計画であることを説明する文章が必要となります。また書きっぷりという点でいえば、融資担当者が理解しやすい言葉や専門用語を使うと良いでしょう。可能であれば、創業融資に強い会計事務所にもアドバイスしてもらい、語彙や言い回しなどを校正してもらうと良いかもしれません。


 また、日本政策公庫のフォーマットでは、数値計画は創業計画の中の「事業の見通し」として簡易なPL(損益計算書)がある程度ですが、これもスペースが少ないため、数値計画の説明としては非常に物足りない部分があります。しっかりとアピールしたいのであれば、創業からの月次計画を策定し、売上については数量と単価、人件費については月給と人数、減価償却費については設備投資計画などから作成することで、足腰の強い計画を用意すべきです。そうすることで融資担当者から何を質問されてもきちんと回答できる数値計画となるはずです。なお会計事務所と一緒に数値計画を作る場合には、損益計算書計画とともに、貸借対照表計画とキャッシュ・フロー計画も同時に策定してもらえます。いわゆる財務3表連動計画(①損益計算書、②貸借対照表、③キャッシュフロー計算書の3財務表が連動する計画)を作ることにより、予定した売上計画で進んだ場合に、資金水準がどれくらいで推移するのかが把握でき、足りない金額をベースに、融資申込額や自己資金投入額を見直すこともできるのです。資金繰りのボトム(底辺)がいつ頃到来するのかが分かり、そのための資金手当てを見通すことができ、生存率を高める財務戦略が出来上がっていくでしょう。


 なお、2年程度の月次創業計画を策定することで、消費税の課税選択の判断材料にもなります。免税事業者期間を最大にするのか、あるいは課税事業者を選択して消費税還付を獲得した方がメリットがあるのかなど、事業計画作りが、戦略的な税務対策にもなり、節税により資金繰り対策にもなるのです。このようにして、創業融資を受けるための事業計画作りをすることで、副次的に、財務・税務の戦略も立てることができ、創業スタート段階で経営者としての力を付けることもできるでしょう。


一度きりのチャンスを活用しましょう


 創業融資は、計画だけで融資審査を受けることができる人生で一度のチャンスと言えます。借入によりビジネスチャンスを掴み、返済実績を積み上げておくことで2回目の融資の可能性も広がるなど戦略的な財務運営に繋がるメリットが見込めます。末永く生存する企業にするためにも、創業融資(財務調達)によりキャッシュ・フローを意識した経営体制を目指して行くことをお薦めします。




無料相談承ります


 税理士法人山岸会計では上述の創業融資の相談に乗っております。初回相談は無料でお受けしておりますので、もし少しでも興味がおありでしたらお気軽に一度ご連絡頂けますと幸いです。

 ※相談したからといって弊事務所に顧問税理士を依頼する必要はございません。





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