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会計士がオススメする経理・会計・給与業務のDXとは

 最近、バックオフィスを効率化するSaaSも増えてきている事もあり、経理・会計・給与領域をDX(デジタルトランスフォーメーション)により効率化したいという経営者の方は増えてきています。しかし、実際にDXを進められている企業は多くありません。そこで、今回は中小企業の経理をDX化するためのステップを会計士目線で解説致します。


1. 経理・会計業務のDX導入における課題とは


 中小企業では、いまだに紙の証憑類や手作業が多く、DXが進んでいない企業が多いと言われています。それにもかかわらず、中小企業のDXが進まない最大の理由は、会社単独でDXを進めて行くことに限界があるためと思われます。なぜなら、経理をDXしていくには、その前提として経理業務の理解、会計税務制度の理解、そして導入システムの理解という知識面の前提条件が揃っている必要があります。さらに昨今は、自動仕訳やデータ連携を活用するツールが増えているため、周辺システムや連携ツールの理解も必要となってきます。経理業務のDXを行うだけでも、前述の知識を持ったうえで、自社にとってどの順番でDXを進めていくのが一番効果的なのかを総合的に考える必要があるのです。


 それだけでも経理・会計業務のDXがいかに大変かは伝わったかと思いますが、上記を踏まえてシステムを導入すれば、それでDXが進む訳ではありません。「会計事務所に勧められてクラウド会計システムを導入したものの、何も教えてくれないので、ろくに使いこなせていない。どうにか使えるように案内して欲しい」という相談が私のところにもよくありますが、新しいシステムを使いこなすには、システムを使う側の人材の教育・育成が必要になり、この人材育成をしっかり行うことができるかどうかが、生産性と付加価値の高い「DX経理」に改革できるかどうかの分水嶺になります。


 このようにな観点があるため、経理のDXを推進していくうえでは、会計税務やシステムを十分に理解しているDX支援者がいるかどうかは重要なポイントになります。残念ながら、財務経理分野での主なDX支援者の1つとして想定される税理士の過半数は60代以上であり、ITリテラシーの高い税理士を探すことがなかなか難しいです。しかし、最近では若手税理士を中心にIT支援を積極的に行っている税理士事務所も出てきておりますので、セカンドオピニオンとしてIT導入支援を積極的に行っている税理士事務所に相談してみて判断なさることをお薦め致します。


 伴走支援してくれるサポーター税理士さえ見るかれば、中小企業におけるDXは一気に進みます。もちろん簡単とは言いませんが、レクチャーと実践を繰り返しながら、少しずつステップアップしていけば良いだけになります。経理担当者の顔色を見ながらDXの階段を着実に一段ずつ登っていけば、1~2年もするとかなりのレベルに達することができ、最終的には、経理担当者がITシステムを使いこなせる人材になり、経理・財務に生まれ変わるきっかけとなります。ぜひIT支援に積極的な伴走支援者にサポートしてもらい、時代に合わせた経理改革を進めて行きましょう。



(1) 相性が合っているか


 この点を気にされる経営者の方は多数いらっしゃいます。人間同士ですので相性の良し悪しがあるのは仕方がないと思います。また相性がいまいちであっても、業務上の相談には適切に乗ってもらっていて会社が助かっているということであれば、ビジネス上の関係と割り切って付き合い続けるのも一つの方策です。なぜなら人間的に相性が良く、自社のビジネスに貢献してくれる税理士を見つけられるとは限らない為です。

 なお、税理士との相性がどうしても良くない場合の対策としては、担当のスタッフの人を中心にサービスを受けるのが良いかと思います。


(2) 税理士やスタッフと会う頻度は適切か


 税理士や事務所スタッフとの定期的なコミュニケーションがほとんどがなく、1年に数回しか会わないとか、訪問しても20~30分で帰ってしまうという場合には問題がある可能性が高いです。通常、このようなサービス状態であると、会計税務上でも問題が発生することがあり、それを契機に顧問契約の見直しを検討した方が良いケースは少なくありません。


 接触が少ない理由は様々あるかと思いますが、税理士側から見てみると、会ってもいないのに文句も言わず顧問料を支払い続けてくれてのであれば、こんなに楽なことはありません。そうであれば「触らぬ神に祟りなし」として、放置しておくのが得策という考えになっている可能性が高いと言えます。中途半端に会社に接触すると、かえって解約リスクも出てくるので、できるだけ接触しないという行動様式になってしまっているケースがあります。


 コミュニケーション頻度が少ない税理士への対策としては、まず税理士に対してコミュニケーションを取るように依頼し、できれば毎月訪問するなどの顧問サービスの具体的内容を取り決めるのが良いでしょう。訪問時に証憑書類をチェックする、決算予測をする、会計システムの新機能を説明する、税制改正の情報提供をする、等の内容を会社主導で決めて約束事(契約)とするのが良いと思われます。もし税理士が約束したサービス提供をしないなどの場合には解約すると伝えたうえで、改善の機会を持つのが一つかと思われます。


 会計事務所が何をすることにより顧問料を支払うのかを明確に定義づけすることは会社として有効なことだと思います。もし税務問題が起きてしまってから税理士のせいにしても会社としては問題解決になりませんので、積極的に対応をしてくれるよう主張すべきと思われます。もし、税理士との関係上、そのような改善要望を突き付けられない場合には、税理士変更の検討も会社として必要なことだと思われます。


(3) 税理士にサービス精神はあるか


 税理士の態度が横柄であったり、税理士に相談すると叱られるなど、コミュニケーションの内容に問題があるケースも珍しくはありません。税理士が怖くて相談ができなくなり、言われるがままになっている…という事例も実際に存在します。会社自身でもすでに問題を認識しているレベルと思いますが、関係改善をしっかり検討しないと行けない状態です。


 対策としては、上述の(2)のケースと同様、顧問契約の内容を具体的にし、どのようなサービスを税理士がすべきかと明確にすることが重要です。契約上、双方は対等であることを明確にし、場合により、服務規律・サービス態度・円滑な業務遂行について明記することも対策になるかもしれません。

 また、顧問サービスは相談がしやすいかは重要事項となりますので、コミュニケーション問題が改善しない場合には、会社として税理士変更の検討も必要なことだと思われます。昔とは違い、最近は税理士にもサービス精神が必要な時代であり、若手税理士を中心に、非常にサービス精神が高い税理士は少なくありません。それらの税理士への変更に目を向けることも対策の一つと考えられます。


2. DXにより効率化できる業務とは


 経理・会計業務のDXのゴールとしては、誤解を恐れずに言えば、会計システムでの自動化を見据えて検討することが望ましいと思われます。単なるシステム導入=DXではないのは言うまでもないですが、給与仕訳や売上仕訳がシームレスに会計システムに連携することを予め想定して、全体を構築していかないと、上流がデータ化しても連携がうまくできず下流で手仕訳をしているようではDXとはいえません。そこで、以下では、まず会計システムを先に解説し、そのあとに周辺業務システムについて解説します。


 会計システムを検討する際に、最初にクラウド会計システムが良いのか、スタンドアロン会計システムが良いのかで迷われることがあるかと思います。結論から言うと、中堅企業であればクラウド会計システム、中小零細企業であればスタンドアロン会計システムが良いのではないか、と思います。理由としては、月額5万円以上となる高機能なクラウドシステムは中堅企業のニーズにマッチしていますが、安い廉価なクラウドシステムだと反応速度が遅くストレスがあるうえに、クリックするためにいちいちキーボードからマウスに手を移動させる必要があり、処理スピードが落ちるという弊害が起きるためです。これがスタンドアロン会計システムだと、ファンクションキーが使えるためマウスを使う事なくキーボードのみで処理ができ、かつキー入力スピードに負けない反応速度がありますので、ストレスなく経理ができると思われます。ついクラウド会計システムの「簡単・便利」という広告宣伝に目が行ってしまいがちですが、クラウド会計システムでは実現できないキー入力機能などがスタンドアロン会計システムにはありますので、必ずしもクラウド会計システムが最善であるとは限らない点に注意が必要です。


 なお会計システムで経理DXを推進する場合に、最低限どこまで出来ていれば良いのか?と思われるかもしれません。そこで、以下では、簡単かつ効果が高い機能をいくつか取り上げ、DX導入のゴールのイメージを解説したいと思います。


 1つ目の代表例は銀行口座のフィンテック(FinTech)連携による業務効率化です。会計仕訳の40%相当は、銀行口座の入出金仕訳と言われており、ここが自動化できれば、業務効率化にかなり大きなインパクトがあります。従来は、銀行口座記録を見ながら大量に入力するため入力ミスが出やすく、チェックにも注意力と労力を要していたと思います。これが、会計システムのFinTech機能を活用すると、銀行口座データが会計システムにそのまま取り込まれますので、金額の入力やチェックという労力からまず解放されます。またAI仕訳学習により、一度学習するとは次からは取引先や勘定科目が自動的に配置されるようになりますので、入力作業の業務効率化が図れます。


 2つ目の代表例はExcelからの仕訳読込機能による業務効率化です。ほとんどの会社には、いわゆるExcel資産がたくさんあり、経理・総務が「Excel地獄」に陥っている企業は数え切れません。企業によっては、Excelに入力整理したうえで、再度、会計システムに同じ内容を入力する「重複入力」が業務効率化を阻害しているケースもあり、経理DXの本命の一つとなります。


 以上の2つだけでも相当の業務効率化になる会社が多いと思います。ゼロから導入するのは難しい面もあろうかと思いますので、慣れている税理士事務所等にぜひサポートしてもらい、最初の1つ、2つを教えてもらえれば、操作自体は簡単ですので、あとは自社でできるようになるかと思われます。ぜひ取り組んでみて頂ければと思います。


3. システム連携による周辺領域のDX~給与計算~


 前述のDXに加え、DXできる業務領域としては給与計算があります。給与計算は、様々な支給項目と控除項目、支払タイミング、そして従業員負担分と事業主負担分とに分かれて、仕訳の難易度が高いです。また実務上は、勤怠時間の転記ミス、残業賃率の計算間違いなど、手作業での混乱も起きやすく、経理の弱点となっているケースもあり、DXする価値が大きい業務領域といえます。ここでは「給与計算DXの3ステップ」として①勤怠DX、②計算DX、③仕訳DXとに分けて解説していきます。


 まず①勤怠DXです。勤怠はExcel集計や手集計のため煩雑になったり、ミスが生じたりしている場合があります。この場合は勤怠システムを導入し、勤怠時間や休暇管理をシステム集計したうえで、給与計算システムに勤怠データ読み込みをすることで転記ミスを削減することができます。勤怠システムでのお勧めはクラウド型の勤怠管理システムです。従業員各自がPCやスマホから、いつでもどこからでも出勤・退勤・有給申請などをすることができるようになります。管理者側もタイムリーに申請承認したり入力状況のチェックや印刷などが可能となりますし、残業アラートや有給消化アラートなども出せるシステムもあります。他にも様々な勤怠管理システムがありますが、いずれにせよ、会社にマッチしたシステムを導入し、データによる集計や転記の自動化が、勤怠DXの第一歩となります。


 次に②計算DXです。給与計算では、勤怠データを利用して、残業時間に割増賃率を乗じて残業代を自動計算するようにシステム内で計算式を組みます。またパート・アルバイトの時給計算についても勤務時間に時給を乗じる計算式を組んで自動化します。これらにより残業代等の計算ミスがなくなり正確になるとともに、自動化しますので作業時間も一気に短縮されます。給与手当が固定給の会社の場合には、勤怠データさえ読み込めば、ほとんど給与計算が終わると言ってよいほど自動化される場合があります。

 ここまで出来ている場合は、さらに給与明細書についてもDX(電子化)すると良いでしょう。給与明細を封筒に入れる会社はその手間、郵送する会社は郵送代がかかりますし、絶対に間違えずに渡さなければならないプレッシャーなど目に見えないストレスがあります。これをWEB給与明細にすることで、ボタン1発で全社員のメールアドレスに発信されますので作業時間が一気に短縮化されるとともに、配布ミスなどのヒューマンエラーも起こりませんので担当者のストレスも削減されます。せっかくDXを推進して給与計算までシステム化・自動化したのであれば、最後の給与明細まで電子化することをゴールにして頂ければ良いのではないでしょうか。


 最後に③仕訳DXです。給与計算が終わったあと、最後に会計システムにて給与仕訳を入力する必要がありますが、給与計算システムでは仕訳データを生成する機能が一般にありますので、これを利用して、会計システムへ給与仕訳を連携させ自動化させると良いでしょう。ただし、給与計算はあくまでも従業員分の計算結果だけであり、社会保険の事業主負担分等については、会計システムで手仕訳する必要がある場合がありますので、ご注意ください。給与計算仕訳は難しく、苦手にしている経理担当者も多いですので、できれば給与自動仕訳ができると負担感が軽減されるでしょう。


4. システム連携による周辺領域のDX~販売管理システム~


 BtoBなどで毎月請求書を発行しているような会社の場合、販売管理システムを導入して、請求書作成をExcelからシステム化してDXするのがお薦めです。販売管理システムにより得意先、商品などがマスター設計され、請求書作成が効率化するとともに、売上データや入金データを、会計システムに連携し自動仕訳することができ、会計も効率化されます。日次で会計システムに自動仕訳すれば非常にリアルタイムに業績が把握できるようにもなるでしょう。また、販売管理システムにてFinTech(銀行データ受信)もできますので、回収管理や売掛金残高管理がタイムリーにできるようになります。さらに、本部のほかに各支店や支部で請求書発行をしている場合にスタンドアロンの販売管理システムを導入すると、本部や各支部がお互いをリアルタイムに見ることができないため、それぞれ独自の処理文化を発達させてしまい、意思統一に難儀するケースがあります。このような場合には、クラウド販売管理システムを導入し、マスター設計を全社統一して制御することで、本支店間の処理統一や意思統一を図れるようになり、DX効果が大きく発揮される場合があるでしょう。


5. DXに貢献できる経理人材の採用・育成


 DXにより、経理・財務の処理スピードがあがりつつ正確性も向上する「スマート経理」が実現します。ただ先にも述べたように、システムさえ導入すれば次の日から一気に業務が改善されるわけではありません。システムを使いこなすための「人材」の教育・育成が必要であり、そのためDX経理の完成には多少の時間がかかります。逆に言えば、人材教育がしっかりできるかどうかが、DX経理の最重要ポイントと言えます。


 したがって、DXにあたりIT投資が必要となりますが、そのIT投資に際しては注意が必要です。たとえばITベンダーから直接購入した場合には、「売りっぱなし」でフォロー無しというケースが多いです。カスタマーサクセスチームが質問に回答してくれたり、活用方法を教えてくれることはありますが、根本的に自社のDX人材育成にはつながらない為、そのままでは自社のDX経理に黄色信号が灯ります。このような場合には総じてDXに失敗するか、限定的なシステム化・IT化になってしまうケースが多いと思われます。具体的には、一部のボタンを押すだけの単純な使い方しかできないとか、バージョンアップに対応できず便利な使い方を知らずにいるケースなどです。


 一方で、ITベンダーの代理店やサポートをメインとする会社・税理士事務所から購入した場合には、IT投資が人材育成費用に置き換わります。サポートする会社としても、企業側の担当者を育成しないと自社の仕事が減らない為、経理が、新しいITシステムやツールを使いこなせるようにサポートしてくれます。そうなってくると、自社の経理人材も従来業務を短時間・高品質で処理しつつ、余った時間でより付加価値の高い業務へシフトしていけるようになります。このように考えると、IT投資では、人材育成機能付きのサービスであるかどうかが投資決定のポイントになるべきではないか、と思われます。


6. これからの経理・財務


 DXという言葉は一過性のバズワードのようにも見られがちですが、経理・財務の分野は、これからますます電子化・IT化が進んでいきます。インボイス制度では、請求書の完全な電子化(電子インボイス)の導入により、証憑の電子化、会計システムとの連携化が進むことが見込まれています。またクラウド化やデータ読込みなどの技術革新により周辺システムとの連携・連動もますます強化されていくことが予測されます。


 このため、中小企業でも時代に乗り遅れることないようDX投資を躊躇なく実施していくことが、競争優位の源泉の一つとなっていきます。今後も、DXへの投資が必要になりますが、国としても中小企業の生産性向上を支援するため「IT導入補助金」を整備し、会計システムや販売管理システムなどの導入に補助を出しています。これらを活用するなどして経理財務のDXを検討すると良いでしょう。



無料相談承ります


 税理士法人山岸会計では上述のような経理のDXの相談にも乗っております。初回相談は無料でお受けしておりますので、もし「自社の経理業務をDXしたい」というお気持ちがある経営者の方や経理責任者の方がいらっしゃいましたお気軽に一度ご連絡頂けますと幸いです。

 ※相談したからといって弊事務所に顧問税理士を依頼する必要はございません。




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