メディア掲載 戦略経営者2025年5月号

株式会社TKC発行の企業向け情報誌「戦略経営者」2025年5月号に掲載されました。

株式会社TKC発行の企業向け情報誌「戦略経営者」2025年5月号に掲載されました。

株式会社TKC発行の企業向け情報誌「戦略経営者」2025年5月号に当事務所のお客様である、パイオネット・ソフト株式会社様がご紹介されました。

◎経営戦略

パイオネット・ソフト 情報通信業

創業以来黒字を出し続ける情報通信産業の先駆者

「夢を与える技術の創造」を経営理念の中核に掲げ、多彩な情報通信サービスを展開しているパイオネット・ソフト。ITの黎明期から培ってきた開発技術と最新のテクノロジーを先取りする先見性、そして巧みな業績管理体制を武器に創業以来黒字決算を継続している。

 ITという言葉がまだ広く認知されていなかった1986年1月の東京で、パイオネット・ソフトは産声をあげた。以来、同社は日本の情報通信産業の発展とともに歩みを進めてきた。

 創業者である中嶋勇社長は、日本電気(NEC)で5年間、システムエンジニアとして勤めたのち、マーケティング会社を経てフリーランスのエンジニアとして独立。86年に会社を興して以降、長らく制御・通信系の組み込みソフトウエアの開発を手がけてきたが、21世紀に入ってからは事業領域を着々と拡大。アンドロイドアプリの開発基盤であるアンドロイドフレームワークの開発、クラウドサービスの受託開発や導入支援、ウェブアプリケーションの開発など、情報通信技術の進化と歩調を合わせるように、多岐にわたる事業に挑戦してきた。

 「当社は創業以来培ってきたITに関する技術力と、最新のサービスやテクノロジーをいち早く導入する先見性と機動力を武器に、顧客が抱えている要望を形にしてきました。この積み重ねが信頼関係の醸成につながっており、仕事を通じて新しい取引先を紹介いただくなど、案件の活発な受注に結びついています」(中嶋社長)

パイオネット・ソフト社長

中嶋 勇社長

 このほか、経営者仲間や同業者との情報交換の場に積極的に参加する、出身であるNEC時代の同僚らとのかかわりを持つなど、中嶋社長は人とのつながりを重要視しており、こうした姿勢が取引先の拡大という形で実を結んでいるようだ。

 「当社は、民間企業はもちろん、官公庁向けの案件など幅広い取引先から仕事を受注しています」と中嶋社長は言う。

働き方改革をITで後押し

 人との出会いを大切にし、日々の業務に真摯に取り組む。まさに「凡事徹底」の精神で案件の受注を重ねてきた同社が、いま特に力を注いでいるのが、チームスピリット社が展開している働き方改革プラットフォーム『TeamSpirit』の導入支援だ。

 TeamSpiritとは、勤怠管理(『TeamSpirit勤怠』)や経費精算(『TeamSpirit経費』)などのバックオフィスに関するクラウドサービスで、同社はチームスピリット社のコンサルティングパートナーとして、同製品の設定代行や運用保守、外部システムとの連携機能の開発といったサービスを提供している。

 『TeamSpirit勤怠』では各種法令や就業規則といったルールを順守しつつ、フルタイムや時短、フレックスなど多様な働き方に応じた管理ができます。また、三六協定の限度時間が近づいている社員をレポートで表示する機能や、特定の残業時間を超えたタイミングで本人や上司、事務担当者にその旨をメールで通知する機能を備えるなど、従業員の長時間労働を未然に防ぐ機能も好評です。『TeamSpirit経費』では路線検索サービスの『駅探』と連携し、路線検索の結果をそのまま旅費申請に活用できるなど、事務担当者はもちろん、従業員の業務を効率化する機能が売りです」(中嶋社長)

新卒社員を毎年採用しており、今年は4人の新入社員が入社した

新卒社員を毎年採用しており、今年は4人の新入社員が入社した

 同社での導入実績は100社超で、従業員500人以下の企業を中心に引き合いが相次いでいる。特に勤怠打刻システムや経理ソフト、給与計算ソフトといった外部システムとの連携機能の開発ニーズが根強いようだ。

 チームスピリットのコンサルティングパートナーに就いたのは「セールスフォース・ジャパンの営業担当に誘われたことがきっかけです」と中嶋社長。同社では2013年から営業支援システムである『Salesforce』導入支援サービスを展開しており、そのつながりでセールスフォース・ジャパンと提携関係にある、チームスピリット社の製品も扱うようになったと中嶋社長は説明する。

「当社ではSalesforceが日本に普及する前から、同製品の導入支援サービスを手がけてきました。このときのご縁から、19年にSalesforceのコンサルティングパートナーに就任。以来、Salesforce製品の導入支援により一層力を入れるとともに、サービスの品質を磨くべく、社員に対してSalesforce認定資格の取得を促すなど、製品知識や開発スキルの獲得にも全社をあげて取り組むようになりました。Salesforce製品の導入に必要な基礎知識を身につけていることを証明する『Salesforce認定アドミニストレーター』を社員の約半数が取得しているほか、高い製品知識や開発スキルを持つことを証明する上位の認定資格を持つ社員も多いです」

 認定資格の取得者を多数輩出している要因は、同社独自の研修プログラムにある。同社では、Salesforceのオンライン学習プラットフォームを活用した研修に加え、標準機能を実践形式で構築する模擬プロジェクトを実施するなど、インプットとアウトプットを反復することで、知識や技術の定着を促している。

「認定資格の取得者数は現在15資格、のべ116名となっており、お客さまへ高い技術力を提供しています」(中嶋社長)

パイオネット・ソフトの教育研修体制(一部)

 認定資格だけではない。同社では新入社員向けに体系立てた研修制度を確立している。

 例えば、新卒の社員はまず外部の専門機関によるビジネスマナー研修や技術研修を通じて、社会人としての振る舞いや心構え、プログラミングの基礎を3カ月かけて学んだのち、OJTを通して開発スキルの底上げと業務知識の定着を目指す。一方、中途社員はeラーニングやプログラミング演習などを中心に、3~6カ月かけてITの基礎知識やスキルを身につけていく。

「研修制度を手厚くしている理由は、当社が新卒・中途問わず未経験者を積極的に採用しているからです。多くの人員を確保するべく、16年ごろから未経験者の採用にシフトしたのですが、その時期からエントリー数や採用人数が飛躍的に伸びました」と中嶋社長はほほ笑む。


黒字決算継続の極意

「当社は創業以来、毎期黒字決算を継続しています」と中嶋社長は力強い口調で言う。

 およそ40年にわたって利益を出し続けている要因の一つが、同社の業績管理体制にある。同社ではマネジャー以上の社員に対し、事業別の売上高や開発スタッフの人件費である製造原価、販管費、利益を開示するとともに、週次の営業会議で売上高と目標原価を比較し、利益を生み出すための打ち手とその結果の検証を実施している。

 23年10月に山岸崇裕税理士が税務顧問に就任し、TKCの自計化システム『FX4クラウド』を導入してからは、同社の業績管理体制がより盤石になった。 「オリジナルの経営資料を作成できる『MR設計ツール』を活用して、売上高の下に製造原価と販管費を配置し、部門別の利益を一目で把握できる資料を作り、それをもとに会議で議論されています。以前はこの資料を手作業で作っていたそうですが、現在はツールを起動するだけで出来上がるので、業務の効率化に大いに役立っています」と、山岸税理士は補足する。

 経理業務を担当している総務部の安田陽子リーダーも、山岸会計によるサポートを高く評価していて、「仕訳のチェックや最新業績の報告を受ける機会を毎月設けていただいており、これが経理業務を的確かつ迅速に進める上での安心感につながっています」と語る。

経営者の使命は会社を存続・発展させること――そう言い切る中嶋社長。直近の自己資本比率は64%と、経営の健全性も抜群に高い。賃上げや物価高騰など目下のコスト高はとどまるところを知らないが、同社は持ち前の高い技術力と盤石な業績管理体制を武器に、今後も利益を生み出し続けることだろう。

パイオネット・ソフト株式会社
設 立 1986年1月
所在地 東京都新宿区西新宿2-1-1 新宿三井ビル36F
売上高 13億6000万円
社員数 96名(契約社員含む)
利用システム FX4クラウド

顧問税理士 税理士法人山岸会計 東京事務所
代表社員 山岸崇裕
東京都新宿区神楽坂2-16 軽子坂田中ビル