知らないと損するお金や税金ニュース

新着記事

Vol.106<特定親族特別控除>令和8年分からは源泉徴収事務にも要注意!

2025/06/11

今回のテーマは、

『<特定親族特別控除>令和8年分からは源泉徴収事務にも要注意!』です。

この記事は1~2分程度で読み終わりますので、ぜひご覧ください。

令和7年度の税制改正のうち、給与所得控除額や基礎控除額の引上げとともに、「特定親族特別控除」の創設が注目を集めました。

改正法は令和7年12月1日から施行されるため、給与所得者の場合、令和7年分の所得税については、年末調整時にはじめて反映されるケースが一般的です。

それに対し、令和8年分以降については、毎月の源泉徴収事務にも影響が及ぶため、正しい理解が求められます。


□■━━━「特定親族特別控除」をおさらい━━━■□

令和7年分の所得税から適用される「特定親族特別控除」とは、大学生世代の子などがアルバイト収入の増加などによって、従来の扶養範囲(給与年収103万円)を超えてしまう場合でも、扶養者(親など)の税金計算時に所得控除を適用できる制度です。

具体的には、下記にしたがって控除額を算定します。

【特定扶養親族(19~22歳の子など)の合計所得金額と控除額】

  • 合計所得金額58万円超85万円以下→控除額:63万円
  • 合計所得金額85万円超90万円以下→控除額:61万円
  • 合計所得金額90万円超95万円以下→控除額:51万円
  • 合計所得金額95万円超100万円以下→控除額:41万円
  • 合計所得金額100万円超105万円以下→控除額:31万円
  • 合計所得金額105万円超110万円以下→控除額:21万円
  • 合計所得金額110万円超115万円以下→控除額:11万円
  • 合計所得金額115万円超120万円以下→控除額:6万円
  • 合計所得金額120万円超123万円以下→控除額:3万円


□■━━━源泉徴収では、合計所得100万円以下なら扶養人数へ加算━━━■□

令和8年1月1日以降に支払う給与からは、特定親族特別控除は源泉徴収事務にも反映する必要があります。

ただし、源泉徴収税額を算定する際に用いる月額表の「扶養親族等の数」では、特定親族のうち、

合計所得金額が100万円以下の場合は人数にカウントしますが、100万円超123万円以下の場合には人数にカウントせず、年末調整時に適用する流れとなります。

同じ特定親族特別控除の対象となる子であっても、合計所得金額が100万円以下かどうかによって源泉徴収税額に差異が生じるため、注意が必要です。


□■━━━まとめ━━━■□

大学生世代の子などを対象とする「特定親族特別控除」が創設され、令和8年分からは毎月の源泉徴収事務にも反映する必要があります。

合計所得金額が100万円以下の場合は扶養親族等の人数にカウントする一方で、100万円超の場合にはカウントせず、年末調整時に反映するため、給与計算時に誤りのないように注意しましょう。


バックナンバー

2025年記事一覧

2025/5/22Vol.105<令和7年度税制改正>11月30日以前の準確定申告は「更正の請求」が必要に
2025/5/22Vol.104<基礎控除の特例>税制改正によって「年収の壁」はさらに複雑化へ
2025/4/22Vol.103<出生後休業支援給付金>2025年4月から育児休業給付が手取りの10割に!
2025/4/22Vol.102<雇用保険>2025年4月から失業保険の給付制限が大幅緩和へ!
2025/4/22Vol.101<補助金制度>2025年度新設の「新事業進出補助金」とは?
2025/4/22Vol.100<生命保険料控除>令和8年の1年間のみ、一部の控除額を拡充へ
2025/3/3Vol.99<リース会計>2027年4月から本格導入される「新リース会計基準」とは?
2025/2/10Vol.98<相続時精算課税制度>申告書の提出漏れに要注意!
2025/2/10Vol.97<確定申告>定額減税の適用漏れに要注意!!
2025/1/23Vol.96<税制改正>大学生の扶養控除は年収103万円⇒150万円に拡大!
2025/1/10Vol.95<iDeCo>令和7年度税制改正で掛金限度額を増額へ!

2024年記事一覧

2024/12/20Vol.94<確定申告>令和7年1月以降は収受日付印の押なつ廃止へ
2024/12/20Vol.93<社会保険>106万円の壁撤廃へ!企業の肩代わり案も浮上?
2024/11/15Vol.92<国民健康保険>来年度から上限額が3万円引き上げへ
2024/11/14Vol.91【年末調整】令和6年の年末調整業務における変更点は?
2024/10/21Vol.90【マイナ保険証】2024年12月以降の健康保険証はどうなるの?
2024/10/08Vol.89<M&A>10月から「悪質な買い手」のリスト化・情報共有へ
2024/10/08Vol.88<国民皆確定申告>年末調整廃止の可能性を考える
2024/09/20Vol.87<フリーランス新法>2024年11月から施行される新法の内容をおさらい!
2024/09/02Vol.86<ふるさと納税>2025年10月以降はポイント付与禁止へ
2024/08/16Vol.85【定額減税】給与年収100~103万円は「二重取り」が可能!?
2024/08/16Vol.84【路線価】国税庁が令和6年分を公表!コロナ禍からの回復基調がより顕著に
2024/07/25Vol.83【社会保険の適用拡大】2024年10月から従業員数51~100名の企業も対象に!
2024/07/12Vol.82【森林環境税】6月から新たな国税がスタート!その使い道には課題も…?
2024/06/12Vol.80【定額減税】控除しきれない場合に支給される「調整給付」とは?
2024/06/12事業再構築補助金の第12回公募開始!変更点やポイントを解説!
2024/06/12幅広い方の創業・スタートアップを重点的に支援!日本政策金融公庫の創業融資制度
2024/05/20【法人登記】10月1日から代表者住所の「非表示」が可能に!
2024/05/17【賃上げ促進税制】中小企業は年間の繰越控除が可能に!!
2024/04/25【交際費】4月より飲食費の金額基準が5,000円→1万円に増額へ!
2024/02/15【経営セーフティー共済】解約後、2年間は再加入による掛け金の損金算入がNGに
2024/01/31【定額減税】源泉徴収分からの控除により、企業の負担増は不可避?
2024/01/15【確定申告】能登半島地震により、申告・納付期限延長へ

2023年記事一覧