知らないと損するお金や税金ニュース2024


Vol.76 【交際費】4月より飲食費の金額基準が5,000円→1万円に増額へ!

2024/04/25

今回のテーマは、
『【交際費】4月より飲食費の金額基準が5,000円→1万円に増額へ!』です。
このメールは1~2分程度で読み終わりますので、ぜひご覧ください。
令和6年度税制改正大綱により、交際費等の損金不算入制度について見直しが行われ、交際費等から除かれる飲食費の金額基準が従来の5,000円から1万円に引き上げられます。
なお、この改正は令和6年4月1日以降に支出する飲食費が対象であり、企業によっては、年度の途中で今回の金額基準の変更に対応する必要があるためご注意ください。


□■━━━飲食費の金額基準とは?━━━■□

法人税の計算では、損金算入できる交際費等の額には上限が設けられています。
しかし、得意先や仕入先などを接待する際の飲食費については、1人あたりの金額が5,000円以下の場合には、交際費等から除外することが可能です。
現在の物価上昇や飲食業界の支援などの背景から、4月1日からは上記の飲食費の金額基準が1万円に引き上げられます。


□■━━━大企業にとってメリットの大きな改正?━━━■□

交際費等の損金不算入制度については、企業ごとの資本金額によって、以下のような差があります。
◎資本金100億円超の大企業
<損金算入>
飲食費1万円以下/人(現行:5,000円以下/人)
<損金不算入>
飲食費1万円超/人(現行:5,000円超/人)
飲食費以外

◎資本金1億円超100億円以下の大企業
<損金算入>
飲食費1万円以下/人(現行:5,000円以下/人)
<50%損金算入・残り50%は損金不算入>
飲食費1万円超/人(現行:5,000円超/人)
<損金不算入>
飲食費以外

◎資本金1億円以下の中小企業
<損金算入>
飲食費1万円以下/人(現行:5,000円以下/人)
<800万円まで損金算入>※
飲食費1万円超/人(現行:5,000円超/人)
飲食費以外

※資本金1億円以下の中小企業は「接待飲食費の50%損金算入特例」の選択も可。
上記のように、資本金が1億円以下の中小企業では、年間の交際費等が800万円までは元々損金算入が可能であるため、今回の飲食費の金額基準引き上げはさほど影響がない企業も多いと考えられます。
一方で資本金が1億円または100億円を超える大企業については、交際費等の損金算入は極めて限定的であることから、飲食費の金額基準の引き上げによるメリットを享受しやすくなるでしょう。


□■━━━まとめ━━━■□

税制改正により、本年4月1日以降に支出する飲食費について、1人あたり1万円以下の場合には交際費等から除外することが可能です。
交際費等の損金算入に制限を受けやすい大企業にとっては、接待目的の飲食費を損金計上しやすくなるなど、一定の効果が期待されます。

Vol.72 【確定申告】能登半島地震により、申告・納付期限延長へ

2024/02/15

今回のテーマは、
『【確定申告】能登半島地震により、申告・納付期限延長へ』です。
このメールは1~2分程度で読み終わりますので、ぜひご覧ください。
2024年1月1日に起こった能登半島地震による被災状況を踏まえ、国税庁は国税に関する申告・納付期限を延長することを決定しました。
石川県および富山県に納税地がある事業者などについては、税務署への申請手続きを行うことなく、自動的に期限延長の適用を受けることが可能です。


□■━━━地域指定による期限延長━━━■□
対象となる納税者
石川県および富山県に納税地のある方(法人を含む)

延長される期限
令和6年1月1日以降に到来する国税の申告・納付等の期限(すべての税目が対象)。

今回の期限延長の対象は、石川県および富山県に納税地のある方(法人を含む)であり、国税に関する申告や申請、請求、届出などの提出や納付期限が延長されます。
すべての税目が対象となるため、所得税の確定申告だけでなく、法人税や相続税、源泉所得税などの申告・納付等の期限についても延長の対象となります。
これらの期限延長については自動的に適用されるため、税務署への申請手続きなどは必要ありません。
なお「申告・納付の期限がいつまで延長されるのか」については、今後の被災者の状況に配慮して検討することとされています。


□■━━━両県以外の場合は、申請により延長可能━━━■□

石川県および富山県のいずれにも納税地を有しない場合であっても、今回の地震により被災し、申告・納付手続きが困難な場合には、所轄の税務署に対して申請することで、申告・納付期限の延長を受けることができます。
この場合の申請手続きについては、必ずしも事前に行う必要はありません。当初の期限を経過したあとでも、状況が落ち着いてから、申告や納付と合わせて申請することも可能です。


□■━━━まとめ━━━■□

能登半島地震による被災状況を踏まえ、石川県および富山県に納税地のある方々については、申告・納付等の期限延長が適用されます。
またその他の納税地でも、被災状況などによっては、申請により延長措置が適用されるため、国税庁の情報を整理し、無理のない税務手続きを心掛けましょう。


Vol.71【定額減税】源泉徴収分からの控除により、企業の負担増は不可避?

2024/01/31

今回のテーマは、
『【定額減税】源泉徴収分からの控除により、企業の負担増は不可避?』です。
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令和6年税制改正大綱が公表され、目玉政策のひとつともいえる「定額減税」の実施方法についても示されました。
中でも給与所得者については、令和6年6月以降に支払いを受ける給与の源泉徴収税額から順次控除する必要があり、雇用者である企業側の負担増加が見込まれています。


□■━━━「定額減税」とは━━━■□

定額減税とは、長引く物価高の影響を緩和するため、令和6年分の所得税から3万円、令和6年度分の個人住民税から1万円の合計4万円を減額する制度です。
いずれも合計所得金額が1,805万円以下(給与所得のみの場合、給与収入2,000万円以下)の納税者が対象であり、配偶者や扶養親族に関しても、1名あたり4万円の減税を受けることが可能です。


□■━━━6月に控除しきれない場合、7月以降も順次控除━━━■□

定額減税については、給与所得者の場合、所得税は源泉徴収税額から、個人住民税は特別徴収税額から控除することで実施されます。
所得税については、令和6年6月以後、最初に支払いを受ける源泉徴収税額から控除し、控除しきれない場合は7月以降も順次控除しなければなりません。
なお12月でも控除しきれない場合には、最終的に年末調整にて精算が必要となります。
また個人住民税については、令和6年6月の特別徴収税額はゼロとし、7月以降、定額減税額控除後の個人住民税を11か月間で均等に徴収します。


□■━━━まとめ━━━■□

令和6年税制改正大綱が公表され、事前の報道通り、「定額減税」が盛り込まれました。
ただし実施方法は源泉徴収税額からの控除が予定されており、従業員ごとに減税状況を正確に管理することは、企業側にとって非常に煩雑といえるでしょう。


Vol.70【経営セーフティ共済】解約後、2年間は再加入による掛け金の損金算入がNGに

2024/01/15

今回のテーマは、
『【経営セーフティ共済】解約後、2年間は再加入による掛金の損金算入がNGに』です。
このメールは1~2分程度で読み終わりますので、ぜひご覧ください。
2023年12月14日、自民・公明両党により「2024年度税制改正大綱」が公表され、さまざまな改正内容が明らかとなりました。
その中には、中小企業倒産防止共済制度(以下、「経営セーフティ共済」)を活用した節税策への見直しも含まれており、契約を解約した場合において、解約後2年間のうちに再加入した際には掛金の損金算入が不可となります。


□■━━━経営セーフティ共済とは?━━━■□

経営セーフティ共済とは、中小企業基盤整備機構によって運営されており、企業の連鎖倒産を防ぐための制度です。
万が一取引先が倒産した場合には、無担保・無保証で借入(掛金の10倍を限度)を受けることができます。

また契約者は支払った掛金を損金算入できるため、いわゆる節税策のひとつとして、経営セーフティ共済に加入する企業も多いです。

なお解約した場合には、掛金に基づいて手当金が支給されるため、益金算入が必要となります。


□■━━━解約直後の再契約の見直し━━━■□

経営セーフティ共済に関しては、解約して手当金を受け取ったものの、自社の利益を鑑みて短期間のうちに再契約を行う事例も多く、本来の制度の趣旨から外れた利用も少なくありません。
そのような状況を踏まえ、今回の税制改正大綱では、解約後に再契約する場合、解約日から2年を経過する日までの間に支払った掛金に関しては、損金算入が不可となりました。
この改正については、2024年10月1日以降に契約を解約した場合に適用されます。


□■━━━まとめ━━━■□

2024年度税制改正大綱が発表され、経営セーフティ共済の再契約に関する損金算入の制限が盛り込まれました。
節税策の一環として契約する企業も多いため、出口戦略をしっかりと見据え、計画的な活用を心掛けましょう。